ECマーケティングとは?マーケティングとの違いと特徴について解説

最近よく聞くECマーケティングとは一体どのようなものなのでしょうか。この記事では、ECマーケティングの意味とやり方、各用語についてご紹介していきます。最後にはECマーケティングにおすすめの本(書籍)もご紹介しています。この記事を読んで、ECマーケティング担当者としての知識を身につけてください。

ECマーケティングとマーケティングは違う?

ECサイトの売上は、アクセス数×購入率×客単価の方程式で計算します。
この売上を伸ばすために理解しておきたいのが、ECマーケティングの手法。
マーケティングとはそもそも顧客の置かれている状況を理解し、そのニーズを的確に満たすことで商品やサービスを効率よく販売するための考え方です。

一般的に、近代マーケティングのはじまりは1900年頃のアメリカであると言われています。1908年、世界初の大量生産自動車として発売された自動車「T型フォード」。この車のヒットを支えたフォード社の販売戦略が、大量生産・大量消費時代のマーケティングの誕生と考えられています。
ただし、あのピーター・ドラッカーの言によれば、マーケティングの起源はそれよりも250年もさかのぼり、なんと江戸時代の日本にあるのだとか。越後谷呉服店が日本橋に出店した際の、一人ひとりの顧客に合わせた商品の販売やチラシの配布などの取り組みを、画期的なマーケティング活動であると評価しています。

いずれにせよ従来のマーケティングは実店舗や訪問営業など、対面での販売活動を前提としたものでした。
ネットでモノやサービスを売るECサイトのマーケティングでは、そこにプラスしてオンラインならではの特徴が加わります。

ECマーケティング施策を考える際は、まず以下の3つのポイントをおさえることが基本です。

  1. ターゲットとなる顧客のいるエリアを見定めること
  2. 顧客とはPCやスマートフォン・タブレットを介してコミュニケーションをとること
  3. 顧客を分析する際に、ネット上での行動履歴などの大量のデータを用いること

これらを踏まえてアクセス数・購入率・客単価をそれぞれ改善することで、ECサイトの売上アップを目指していくのです。

ECマーケティングにおける「集客」対策で使われる手法とは

ECサイトのアクセス数は、そのまま集客と言い換えられます。
たくさんの集客があれば、それだけブランドやショップの認知度も上がり、購入にもつながりやすいものです。
実店舗を持たないECサイトで集客アップの対策をするための手段は、インターネット広告を利用して、オンライン上で顧客にアプローチを仕掛けていく必要があります。

リスティング広告(PPC)

GoogleやYahoo!の検索エンジンで何かを調べた際、検索結果画面の上部に「広告」というアイコンのついたサイトがいくつか出てくることがあります。リスティング広告は検索連動型広告ともいわれ、検索結果画面に表示される広告のことを指します。

リスティング広告は、もっともアクセスの獲得効率が高いインターネット広告といわれています。
はじめてECサイトの広告をうつときは、まずリスティング広告からはじめることがおすすめです。ほかの広告にくらべ、比較的かけた予算によるアクセスの獲得数を計算しやすいという特徴があるためです。
リスティング広告の運用を請け負ってくれる広告代理店はたくさんありますが、その場合は広告そのものの予算に上乗せして運用手数料がかかります。予算をおさえたい場合には自社で運用をがんばってみるという選択肢もあるでしょう。

ディスプレイ広告(バナー広告)

Yahoo!やブログ記事をはじめ、さまざまなWEBサイト上で表示されるバナータイプの広告をディスプレイ広告といいます。
ディスプレイ広告は、ユーザーの目に画像として製品を表示することができます。そのためブランドやショップの認知度を上げるためには効果的。ディスプレイ広告は単体で予算をかけるというよりも、ほかの広告とあわせて活用していくことで費用対効果がよくなる傾向があります。

SNS広告(LINE・Instagram・Twitter・Facebook)

LINE・Instagram・Twitter・Facebookといったソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSを利用した広告です。
今や大半の人がなんらかのSNSを使っており、その存在は人々の生活に深く根差したものとなりました。

SNSを利用する際、ユーザーは自分の年齢や性別、地域などのプロフィールを登録します。そのプロフィールや閲覧履歴などのデータを基にすれば、広告表示させる対象を細かく絞り込むことができ、自社の製品やサービスに興味を抱いてくれそうな人に効果的にアプローチできることがSNS広告の強みです。

アフィリエイト広告(成果報酬型広告)

広告費で収益を上げているサイトや個人のアフィリエイターのサイトに広告を掲載してもらう手法です。
アフィリエイト広告は掲載のみでは費用がかかりません。広告をクリックしてサイトを訪れたユーザーが、商品の購入や会員登録などのアクションを起こしてはじめて広告費が発生します。そのため「成果報酬型広告」とも呼ばれています。
とてもリスクが低く、特別な理由がない限りはアフィリエイト広告も併用して活用するのがおすすめです。

SEO・コンテンツSEO

訪問者数を増やすために広告出稿とあわせて対策したいのが、サイトのSEOです。
SEOとはSearch Engine Optimizationの略。日本語に直訳すると検索エンジン最適化という意味で、GoogleやYahoo!で検索されたときにより上位にサイトを表示させるための対策のことをいいます。

Google・Yahoo!といった検索エンジンには検索アルゴリズムというものが存在します。これはページの良し悪しを判断する基準で、検索エンジンはこれをもとにユーザーが欲しい情報を的確に表示させているのです。

検索アルゴリズムで「検索に応えられる良い内容」と認知されたページは検索結果の上位に表示されます。ユーザーは一般的に検索結果の上からページを閲覧していくので、結果、サイトの訪問者数アップにつながるというわけです。

SEOにつながる対策にもいくつか種類があるのですが、共通して大切なのが、検索アルゴリズムに沿った充実した内容のコンテンツ(文章・画像・動画など)をサイトに用意することです。SEOとしてコンテンツを作成・改善していくことをコンテンツSEOと呼びます。

また似た言葉で「コンテンツマーケティング」というものがあります。特集ページやブログ記事、動画、SNS投稿などのコンテンツを発信することで見込み客の獲得を目指す広範囲なマーケティング手法のことで、コンテンツSEOもこの中に含まれるものです。

ECマーケティングにおける「購入」対策で使われる手法とは

サイトのアクセス数が増えても、その中で実際に製品やサービスを購入してくれる人の数が増えなくては売上にはつながりません。
以下に、ECサイトでの購入率をアップさせる施策をご紹介します。

ランディングページ最適化(LPO)

ユーザーがサイトを訪問したときに最初に表示されるページをランディングページ(略称LP)と呼びます。
LPはサイトの入り口。ここが魅力的でなかったり、あるいは使いにくかったりすると、ユーザーのサイトへの関心は薄れページから離脱されてしまいます。
LPからほかのページを見に行ってもらう、商品を購入してもらうために行うのがLPO(Landing Page Optimization=ランディングページ最適化)対策です。

サイト内検索の充実

せっかくユーザーがサイトに来てくれても、目当ての商品を探せなかったら購入には至ってくれませんよね。
商品にスムーズに辿り着いてもらうためには、サイト側で検索機能を充実させる必要があります。検索窓にキーワードを打ち込んでもらうワード検索以外にも、種類や利用シーンなどさまざまな角度から探せるようなカテゴリメニューを設置するとよいでしょう。サイズや色、価格ごとに商品を探せるようにしておくことも効果的です。

レコメンド機能

レコメンドとはおすすめのこと。ある商品を閲覧・カートに入れたユーザーに対し、関連性の高い別の商品をおすすめとして表示させることをレコメンド機能といいます。
たとえば「こちらのほうがお得ですよ」といった形で安価な商品を表示させたり、色違い商品や似ている商品を表示させたりすることで購入率がアップします。前回購入した商品をもとにおすすめの商品を案内するのも効果的。
また「よく一緒に買われている商品はこちら」といった形で関連商品を表示させるのもよいでしょう。ついで買いにつながり客単価アップも見込めます。

「カゴ落ち」対策

カートに商品を入れたものの、購入が完了する前にユーザーがとりやめてしまうことを「カゴ落ち」と呼びます。ECサイト側としてはなんとも食い止めたいところです。
「カゴ落ち」の原因はさまざま。購入を完了させるためのフォームの入力が面倒だった、送料が高すぎた、希望の支払い方法が選択できなかった、など。対策をするためには、ユーザー目線でサイトを見直して使いにくい点・わかりにくい点を改善していかなくてはなりません。

UI(ユーザーインターフェース)の見直し

ユーザーがサイトを利用する際の見た目の部分をUI(ユーザーインターフェース)と呼びます。
サイト全体の体裁やページのデザイン、商品の詳細情報などをユーザーにとってより見やすく・わかりやすくすることが購入率アップにつながります。
この際陥りがちな落とし穴が、デザイン性を良くすることが目的ではないということ。商材やサービスによってサイトのイメージを改善するブランディングももちろん大切ですが、それよりもまずユーザビリティの向上を目指すようにしましょう。

ECマーケティングにおける「再訪」対策で使われる手法とは

サイトを定期的に訪れ、商品を購入してくれるユーザーはいわゆる常連さんです。アクティブユーザーとも呼びますが、この常連顧客を増やすことはサイトの長期的な売上確保のために必要となります。
そのためには、1度来てくれたユーザーの「再訪」を促し、自サイトの固定客として囲い込まなくてはいけません。

クーポンの発行・会員ポイントの付与

まず取り組みたい再訪対策が、クーポンや会員ポイントを利用するもの。 他のサイトと比較したときのメリットが多いぶん、ユーザーが自サイトで買い物をしてくれる可能性は高まります。代金が値引き・割引になるクーポンや、繰り返し購入し貯めることでリターンが発生する会員ポイントはその対策としてうってつけ。ユーザーの囲い込みにつながります。

リマーケティング広告

インターネット広告の中でも再訪を目的としたものがリマーケティング広告です。 これは、一度でもECサイトを訪れた人に対して広告を表示させるもの。リスティング広告と同様に費用対効果が高い傾向があるため、毎月一定数以上のユーザー訪問数があれば広告を出してみることをおすすめします。

メールマガジンの配信

顧客に対して定期的にメールマガジンを配信することも有効な手段です。
対面で顧客と接することができないECサイトにとって、メルマガは貴重なコミュニケーションツール。値下げ品や季節商品の情報を発信し、顧客にサイトへの訪問を促せます。
さらに顧客データと照らし合わせれば、どのユーザーがどういった内容のメールに反応しているかも分析でき、より精度の高い情報を的確に配信することも可能。
最終購入日からある程度の期間が過ぎてしまっているスリープユーザーへ、クーポンの発行でアプローチをかけるなどの使い方もできます。

ECマーケティングの担当者が読んでおきたい書籍

ECサイト運営していく中でも、とくにECマーケティング関連についておすすめの書籍を紹介します。
ECマーケティングにおいては知っているか・知っていないかだけで成果が変わるケースも珍しくないため、座学的な内容から知識を深めたり、とにかく色々な情報をインプットしていくことがおすすめです。

売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則

ネットショップ開業から運営の知識を体系的に学べる書籍になります。
直感的に理解しやすく、分かりやすい内容になっている「マンガ版」も発売されていますが、より一層知識を深めるためにもECマーケティングの担当者であれば、がんばって本書籍を読むことをおすすめします。

沈黙のWebマーケティング -Webマーケッター ボーンの逆襲-

とても分厚い本ですが、漫画形式で読み進めやすく、1日あれば読破できるボリュームになっています。
ECマーケティングよりも少し抽象度の高い内容になりますが、考え方やマーケティングの普遍的で本質的な部分を理解するのにおすすめです。
筆者の周りのマーケティング担当者の間でも、おすすめ本の話になると必ずといっていいほど話題に上がる書籍です。

いちばんやさしい Googleアナリティクス 入門教室

ECマーケティングを実施していくうえで、一番やってはいけないことは「やりっぱなし」で放置すること。
施策を実施した後は必ずデータを振り返り、良し悪しを判断し、次に生かす、この一連の流れを繰り返していくことが重要です。
アクセスデータを分析するツールの代表としてGoogleアナリティクスというツールがあり、本書籍はGoogleアナリティクスを利用したデータ分析の基本が学べる入門書となっています。
著者の小川卓さんはWEBアナリスト・WEB分析の第一人者とも呼ばれており、非常に実践的で分かりやすい解説がされています。

ECマーケティングECサイトの特有のメリットを生かして実施しよう

ここまでお読みいただきありがとうございました。
まとめると、ECマーケティングは「集客」「購入」「再訪」のそれぞれの観点で対策をおこなっていく必要があります。
オンラインならではの特徴を活かすECマーケティングは、ここ数年ますますの発展を遂げています。常に状況は更新されていくので、波に乗り遅れないよう、最新の情報をチェックしつつ自サイトにあった施策を実行していきましょう。

店舗には実店舗の売り方が、そしてECサイトにはECサイトの売り方があります。
ターゲットの広さや分析できるデータ量の多さを活かし、ぜひ効率的にサイトの売上アップを目指してくださいね。

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